神奈川県から移住・就農したDさん

就農を始めたきっかけ

神奈川県から遠く離れた北海道の安平町に就農した私には、それ以前から農業を生業とするという決意がありました。
農家の息子として育った私は農業には昔から親しんでおり、ごく自然と自分もいつか農業を職業にするだろうと思っていたからです。
しかし、実際に自分の手で農業を営むと決めたのは平成7年3月、旧早来町にあった勤めていた早来農業振興公社が解散したときでした。

安平町への移住は、私にとって自然な流れです。
空港や港へのアクセスが良く、人とのつながりもあり、私たち家族にとって大きな安心材料となりました。
ちなみに私たち家族は、私と妻、子ども3人に加え、愛犬とヤギ、ニワトリという構成です。
ハーブ苗やトルコギキョウ、小松菜などを栽培しています。

安平町は札幌にも比較的近くて田舎ながら何かと便利ですし、水田や畑作、畜産、酪農など、さまざまな農業を実践するのにぴったりの町でしょう。
私の経験から言えるのは、農業に挑戦する価値は十分にあるということです。
農業を通じて、大自然の中で生きる喜びと食べることの大切さを、家族と共に学んでいきたいと思います。

就農してから苦労したこと

北海道に移住したとき、私たち家族が直面した最大の挑戦は冬の厳しさでした。
神奈川県から来た私たちにとって、気温がマイナス25度にも達する寒さには本当に驚きました。
本州での生活では想像もできなかった寒さです。
朝起きると窓の外は一面の銀世界、一歩外に出ると息をするだけで顔が痛むような冷たさが私たちには新鮮でありながらも、日々の生活に大きな影響を与える大きな挑戦でした。

この厳しい寒さとの戦いは、私たち家族にとっては日々のルーティンとなりました。
初めは寒さ対策や雪かきなどの手間に圧倒されることもありましたが、徐々に冬の生活にも慣れ、上手に付き合っていく術を学んでいった状況です。

また、厳しい寒さのなかでも北海道の自然は息をのむほど美しく、私たち家族に新たな喜びをもたらしました。
スキーやスノーボード、雪だるまを作ることや雪合戦をすることで家族の絆を深めたものです。
マイナス25度の寒さは確かに大きな挑戦でしたが、それを乗り越えたことで得られるものは計り知れません。

就農してよかったこと

就農してよかったと実感するのは、この厳しい自然の中で農業のおもしろい部分やたいへんな部分を肌で実感できることです。
農業は決して楽な仕事ではありませんが、本気で立ち向かえば立ち向かうほど、その楽しさややりがいを実感できるのが魅力だと思います。
これから就農される方々へのアドバイスとしては、たいへんでつらいことも多いですが、農業の楽しさはそれを上回るものがあるということです。