北海道ならではの悩み「冬の仕事」をどうするか

北海道での就農を夢見る方にとって、最も気になることの一つが冬の過ごし方ではないでしょうか。本州の多くの地域とは異なり、北海道の耕種農業は雪の影響で冬の数ヶ月間は畑に出ることができません。脱サラして新しい生活を始めようとする時、この空白期間の収入や時間の使い方は、生活を安定させるための非常に重要なポイントとなります。今回は、北海道の農家が冬をどのように乗り越えているのか、そのリアルな選択肢について詳しく解説します。

冬期間の収入をどう確保するのか

北海道の農家の多くは、夏場に集中的に稼いで冬は支出を抑えながら過ごすというサイクルを持っています。しかし、就農して間もない時期は、夏場の収益だけで一年間の生活費や次年度の営農資金をすべて賄うのは簡単ではありません。そのため、多くの新規就農者が冬の間の副収入を検討することになります。

最も一般的なのは、冬の期間だけ別の仕事に従事する出稼ぎやアルバイトです。かつては都市部へ働きに出るケースも多かったのですが、現在は地元に残って働ける環境も整いつつあります。例えば、農協の選果場や加工施設での勤務、あるいは地域の除雪作業に従事するといった方法です。特に除雪は、大型特殊免許や牽引免許を持っていれば、農閑期の貴重な収入源となります。

また、近年ではパソコンを活用したリモートワークを副業にする若手農家も増えています。脱サラして就農した方であれば、前職のスキルを活かして、冬の間だけ事務作業やプログラミング、デザインなどの仕事を請け負うことも可能です。農業と異業種を組み合わせることで、雪国特有の経済的リスクを分散させるという考え方が広がっています。

地域や作目によって異なる冬の働き方

冬の過ごし方は、実は栽培している作目や地域によって大きく異なります。例えば、米や豆、小麦などの大規模な畑作を中心としている場合は、冬は完全に農作業が休みになるため、まとまった時間を別の仕事に充てることができます。一方で、ビニールハウスを利用した施設園芸を行っている場合は、冬でも仕事があるケースが少なくありません。

最近では、冬でも出荷できる「冬野菜」に力を入れている地域もあります。雪下キャベツや雪中ニンジン、あるいはハウスでのイチゴ栽培など、積雪を逆手に取った付加価値の高い農業です。ただし、冬場のハウス栽培は暖房代などの燃料費が嵩むため、事前の緻密な計算が欠かせません。

また、畜産を営む場合は、耕種農業のような農閑期は存在しません。牛や豚などの家畜は一年中世話が必要なため、冬でも毎日決まったルーティンをこなすことになります。脱サラ後のライフスタイルとして、冬はゆっくり休みたいのか、それとも通年で安定して働きたいのかによって、選択すべき作目や経営形態も変わってくることを覚えておくと良いでしょう。

次年度に向けた準備と心身のリフレッシュ

冬の期間は、単なる休みや副業の時間だけではありません。春からの農作業をスムーズに始めるための大切な準備期間でもあります。トラクターやコンバインといった高価な機械の整備、次年度の作付け計画の策定、肥料や種子の手配など、デスクワークを中心とした仕事が山積みです。

特に新規就農者にとって、冬は経営状況を見直す貴重なタイミングです。一年間の収支をまとめ、青色申告に向けた書類作成を行うことで、自分の経営の弱点や改善点が見えてきます。また、地域の農家仲間との情報交換会や、自治体が開催する農業研修に参加し、最新の栽培技術やスマート農業の知識を学ぶ絶好の機会でもあります。

そして何より、北海道の過酷な夏場を駆け抜けた身体を休めることも、長く農業を続けるためには欠かせません。趣味の時間を作ったり、家族との時間を大切にしたりすることで、春からの繁忙期に向けた活力を蓄えるのです。冬を「収入がなくなる不安な時期」と捉えるのではなく、「次の一年を豊かにするための投資期間」として捉えることが、北海道で農業を成功させる秘訣と言えるかもしれません。