離農の理由として考えられること
総務省の調べによると、農の雇用事業という国の制度を利用した研修生のうち、4年以内に離農していることが明らかになったそうです。
離農する理由について考えてみたとき、まず頭に浮かぶのは「農業に対する期待と現実のギャップ」ではないでしょうか。
農業を始める人の多くが、最初は自然に囲まれた健康的な生活や、自分で育てた作物を通じて社会に貢献できるというイメージを持っているはずです。
しかし、実際には農業は天候に左右されやすく、収入が不安定であること、また重労働が伴うことなど、想像以上の厳しさに直面することとなります。
さらに、研修期間中に高度な生産技術や経営ノウハウを学ぶことができたとしても、実際に自分で農業を営む際には資金の調達や販売先の開拓など、予期しなかった課題に直面することも少なくありません。
特に農業経験がない脱サラ組にとっては、これらの課題が挫折の原因となっているのではないでしょうか。
また、研修を受ける農業法人や組織によっては、研修生の能力や適性を十分に考慮せず単純労働に従事させる場合もあるようです。
このような環境では、研修生が農業への情熱を維持することは難しいでしょう。
その結果、少なくない人が離農に至ると考えられます。
離農を防ぐためにできることは?
離農を防ぐためには、農業に対する現実的な理解を深めることが大切です。
農業は自然の恵みを受けながら行う仕事であり、天候や害虫といった予測不可能な要素が関係します。
そのため、農業に携わる前にこれらのリスクを理解し、受け入れる準備が必要です。
また、農業だけでなく農業経営に関する知識も同様に重要でしょう。
資金調達や販売戦略など、農産物を作るだけではなく、それをいかにして収益に結びつけるかというビジネススキルが求められます。
次に、研修を受ける際にはその質をしっかりと吟味することが大切ではないでしょうか。
ただ単に長時間労働を強いられるような場所ではなく、技術から経営ノウハウまでしっかり学べる実践的な研修プログラムを選ぶ必要があります。
研修を提供する農業法人や組織の過去の実績を調べ、実際に研修を受けた人の声を聞くことも有益です。
地域の農業コミュニティに参加することも有効な手段となるでしょう。
地域の農家や農業団体とのつながりは情報交換や相互支援の場となり、農業経営における困難を乗り越えるための貴重なリソースとなると言われています。
農業に対する熱意や共感を共有できる仲間がいると、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
農業は常に変化しており、新しい技術や手法が次々と登場します。
そのため、学んだことに満足せず常に最新の知識を得る努力も求められているはずです。
農業技術や経営に関して、継続的に学んでいこうという姿勢が大切だということでしょう。